ペロ
幼い頃に両親を亡くし、天涯孤独であるノリコにとって、誰かに自分を必要とされるということは、何事にも変えられない喜びだった。
勤勉さから、会社から必要とされることはあった。
地味で目立たないノリコを一人の人間として、女として認めてくれた初めての男が隆也だった。
身を切り裂かれるような思いで自らが離れることを選んだノリコにとって
『今日、どうしても会いたい』
たった一行の隆也からのメールが、彼女を救う、唯一の命綱のようなものに思えた。