ペロ
奈津美はまた目を閉じる。
『久美ちゃん・・・ そう、久美ちゃんは、犬が大好きな子でね・・ 妹の留美ちゃんは怖がりなんだけど・・・
私もよく、ここで一緒に遊んでいたんです・・・』
『え?奈津美さんと、姉妹が遊んでいたんですか? 』
意外な受け答えに梶原は戸惑う。
『私も犬を飼っているんです。 ここで散歩していると、彼女達が喜んで寄ってくるのよ。
おまけに母親は知り合いだし、寄るなとは言えないでしょう?』
梶原はどう返してよいのかわからない。
曖昧に頷くしかない。
『あの、奈津美さんはペロを見たことがあるんですね? 』
奈津美は答えない。
代わりに、妙なことを言った。