ペロ
『だから悪いのは人間だって言いたいんですか?
それこそ偽善じゃないか。
子供がわからないのは、仕方がないでしょう?!
それに、大人だって亡くなっているんだ。
ただ優しく、面倒をみようとした人間だって・・・ 』
紀子を思い出し、喉が詰まる。
『大人だって同じなのよ。 面倒をみる? 寂しいから犬が欲しいだけでしょう?
野良として自由にしていたいのに、勝手に鎖で繋いで拘束されて、貴方なら嬉しいの? 』
奈津美はまくし立てる。
『・・・可愛い可愛いって、無知な人間が犬の身体に合わない服を着せて、階段で服に足を引っ掛けて落っこちて
下半身不随になったミニュチアダックスがいたわ。
足が不自由になればその後の飼育はもちろん大変になる。
その飼い主はその子を保健所へ連れて行った・・・
人間の食べ物を与え、散歩もろくにせずに糖尿病で早死にする犬もいる。
ワクチン接種を怠り、不潔な庭に繋がれほったらかしにされた犬・・・ 身体からは大量の蛆が湧いてたわ。
人間のエゴで、犬がどれだけ悲しい思いをしてるか貴方にわかる?』
奈津美も涙目になっていた。