ペロ
このような話しは知っていた。
そもそも、犬を飼うという行為 に梶原自身も疑問がなかった訳ではない。
『でも・・・それでも・ 幸せな犬もいると思います・・。
そんな酷い飼い主ばかりじゃなくて・・・
奈津美さんも犬を飼っているんでしょう?
なんでもかんでも完璧にはできないでしょう?
それでも、奈津美さんの犬は、奈津美さんを殺したいほど恨んでなんか・・いないでしょう?
ねぇ・・・死んでいいことなんか・・・ねぇんだぞ、バカヤロウ・・・・』
梶原は喚くように言うと、鼻水を拭った。
いつの間にか立ち上がっていた。
奈津美は手で顔面を覆い隠すようにして、震えながらコクリと頷いた。