ペロ
古い外観とは裏腹に、恐ろしく綺麗に整えられたリビングに案内された。
チリ一つ落ちていないというのはこうゆうことを言うのだろう。
そして何よりも気になったのは、無数の数の時計・・・
壁掛けの物もそうだが、置き時計、懐中時計、飾られたアンティークな腕時計・・・
「ちょっと不気味でしょう?
主人の趣味なのよ・・・ 」
婦人は見るからに高価そうな花柄のカップに、紅茶を注いでいる。
『いや、さすがですよね。 すごい数だ・・・
お部屋は綺麗だし・・・ 』
「私が掃除が好きなんです。主人はそんなに気にならないらしいんだけど・・・ 」
フフッと笑うと婦人は携帯を手に取った。
「あら、もう駅に着いたって、あの、主人からメールがきていましたわ。もう少しお待ちくださいね。」
梶原は汗ばんだ拳を握り締める。