ペロ
「犬だと?・・・ 名前はなんと言ったかな、 君。
私は犬など飼っていないのだが、何か勘違いをしているんじゃないのか? 」
梶原の鼓動が早くなる。
『いいえ、堂島さんが飼われていた犬です。 』
胸ポケットとから出した写真を渡す。
乱暴に受け取り、金縁を持ち上げた堂島は、写真を持つ手を小刻みに震わせている。
「なんで・・・これを・・? ・・・・・・・お前は誰だ?」
『堂島さんがこちらで飼われていた犬ですね? 二匹のうちの、一匹ですよね? 』
カウンターキッチンの中で婦人が蒼い顔をして俯いている。