ペロ

「犬だと?・・・ 名前はなんと言ったかな、 君。

私は犬など飼っていないのだが、何か勘違いをしているんじゃないのか? 」

梶原の鼓動が早くなる。

『いいえ、堂島さんが飼われていた犬です。 』


胸ポケットとから出した写真を渡す。

乱暴に受け取り、金縁を持ち上げた堂島は、写真を持つ手を小刻みに震わせている。


「なんで・・・これを・・? ・・・・・・・お前は誰だ?」

『堂島さんがこちらで飼われていた犬ですね? 二匹のうちの、一匹ですよね? 』


カウンターキッチンの中で婦人が蒼い顔をして俯いている。






< 49 / 68 >

この作品をシェア

pagetop