ペロ


高山紀子の墓に、小さな瓶に入ったペロの遺骨を置いた。


奈津美が、遺体を警察から取り戻して、ちゃんと火葬してくれた。

骨はほんの僅かしか残らなかった。

子犬だと思ってきたペロはなんと16歳だったのだ。

人間で言ったら、かなりのお爺さんだ。

どうせ復讐するなら、もっと若くて力有り余る内に・・・


梶原はふと、胸だか喉元だかに突っ掛かるものを感じる。


(敢えてこの時を待っていたのか・・?)



木のベンチに座った奈津美の言葉を思い出す。



言葉を話せない犬にとって・・・・

美保子さんを洋子さんと同じ死に目に遭わせ、孝蔵を確実に孤独にさせる・・・

まだ若い孝蔵であればまだいくらでもやり直しがきくが
今は恐らく定年を迎える頃だ・・・





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