ジャス
スーパーヒーロー
明治二年(1869年)冬
函館
この年、一つの時代が幕を閉じた。
北の大地を雪が覆い尽くしていた。
ゴウゴウと吹き抜ける吹雪。
そのただ中を、二人の男女が行く当ても無くさ迷っていた。
「…大丈夫か…」
男が女の身を案じ声を掛けた。
「ええ。私は大丈夫です。それより“新太郎”、傷の具合はいかがですの?」
女が男を見つめる。
「傷など大した事ない。…これぐらいの傷で音を上げては、志し半ばで散っていった“同士達”に申し訳がたたん。」
男がグッと前を見据える。
「いたぞ!あそこだ。」
不意に後方から声があがった。
「くっ!ここで捕まってたまるか。…我らの“理想国家樹立”までは逃げ続けてやる。」
二人は寄り添い合いながら逃げ出す。
こぼれ落ちた理想を掴む為、幾多の仲間達の無念を晴らす為に…。
函館
この年、一つの時代が幕を閉じた。
北の大地を雪が覆い尽くしていた。
ゴウゴウと吹き抜ける吹雪。
そのただ中を、二人の男女が行く当ても無くさ迷っていた。
「…大丈夫か…」
男が女の身を案じ声を掛けた。
「ええ。私は大丈夫です。それより“新太郎”、傷の具合はいかがですの?」
女が男を見つめる。
「傷など大した事ない。…これぐらいの傷で音を上げては、志し半ばで散っていった“同士達”に申し訳がたたん。」
男がグッと前を見据える。
「いたぞ!あそこだ。」
不意に後方から声があがった。
「くっ!ここで捕まってたまるか。…我らの“理想国家樹立”までは逃げ続けてやる。」
二人は寄り添い合いながら逃げ出す。
こぼれ落ちた理想を掴む為、幾多の仲間達の無念を晴らす為に…。