ジャス
理想国家

 明治八年(1875年)冬

 その頃ジャスは横浜にいた。

 横浜の町は新たなる時代のただ中にあり、めまぐるしい発展をしていた。

 ジャスは潮風の吹き込む港町が好きだった。そしてそれより、様々な思いの募る京都の町にいるのが、痛たまれなかった。

 その日、今年初の雪が訪れた。

 しんしんと雪が港町を覆っていた。



 ズバッ! 

「ぐわーっ! 」
 異形の者の体躯が切り刻まれた! 

「…バーキン星人、ムーシー。異星人謀略の罪で成敗する」
 ジャスが言った。

 ジャスは休暇であるに拘らず任務を努めていた。…体に流れる血が、止まる事を許さなかったのだ。

「…侵略者共め、後から後からわいてきやがる」
 ジャスの顔に悲愴感が漂う。

 幕末を中心に地球には幾多の異星人が訪れる様になっていた。
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