ジャス
不意にジャスは殺気を感じた。『馬鹿な、他に人がいないのは確認した筈! 』思い、振り返った。
一本離れた通りに、一人の狼士が佇んでいる。
青白い顔色に鋭い眼光、バサバサと下ろした髪。
『新太郎!? 』ジャスの顔に驚愕の表情が浮かぶ。
まさしく新太郎だった。だがあの頃の新太郎とは明らかに違う。
飢えた獣の瞳だ!
ジャラ! 新太郎は刀の鞘口を開く。
そしてそのまま、切り込んできた!
咄嗟に応戦するジャス。
ガキーン! 激しい金属音と共に刀同士がぶつかり合った。
二人は刀を併せ合い対峙する。
『な…何故だ? 新太郎。…それにこの力、昔とは違う。』戸惑うジャス。
「新太郎! …目を覚ませ!! 」
ジャスは刀を引き戻し、柄の部分を新太郎のこめかみに叩き込んだ!
「うぐっ…」
新太郎がよろめく。途端に、殺気が掻き消えた。