ジャス
通り沿いは月明かりとそれらを反射する雪明かりで闇夜とは思えぬ程明るく、そして恐ろしい程静寂を保っていた。
ジャスは思った。『この地球に長く居すぎた。』
その時、ジャスの視線が一点を射し止めた。
雪明かりに照らされた町並み。
一人の女が、家路を急ごうと雪道を足早に駆けている。
女も、ジャスの姿を認め立ち止まった。
長い黒髪に妖艶(ようえん)な顔つき、雪景色に溶け込むかと思える程の透き通った肌。
「あ…やね…」
ジャスが口にした。
それは、大人の女に成長した彩音であった。
ジャスの心に衝撃が走る!