ジャス

「…新太郎、もう止めるんだ。無駄な足掻(あが)きはせん事だ。」
 ジャスは静かにだが眼光だけは鋭く助言する。

「くっくく。正義…いやジャスだったかな。無駄な足掻き?…それはお前の方じゃ無いか?」
 新太郎がほくそ笑む。

「お前の無念さは痛感している。…俺とて戦争の虚(むな)しさは熟知しているつもりだ。」

「黙れー!!…貴様に何が分かる。…お前等、そいつを叩き潰せ。半分はそいつの相手、残り半分は俺と共に任務にあたれ!」
 新太郎が命令する。

 再び男達が動きだした。

「悪いが…そう言う事だ。」
 新太郎は、男達と対峙するジャスを横目に広間を飛び出した。

 ジャスは目で新太郎の背中を追う。

「おっと、貴様の相手は俺達だ。」
 仲間がジャスの首筋に刀をあてがった。

「…知らんぞ。この人数だ手加減出来ぬやも知れんが…相手してやる、かかってきな!」
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