ジャス

 官庁内の一角、そこは資料室になっていた。

 月明かりに照らされ仄(ほの)かに明るい室内は、沢山の資料や備品等が置かれ、むせる様なかびの匂いだけが漂っている。

 その倉庫内に何者かの姿があった。その人物は何かを探そうと部屋中を物色している。

「…これだわ。」
 その人物は女だった。女は目的の物を見つけだし安堵のため息を吐いた。

「やはりそれが目的だったか。」
 突然、声が響いた。

 女が振り返る。そこにいたのはジャスだった。

「どうしてここが?」
 女が狼狽(うろたえ)る。

「あの時の風だ。あの風で俺は一つの仮説をたてた。…それが正解なら、お前は必ずここに来る。…信じたくは無かったが…分かったんだ“彩音”お前の正体もな。」
 ジャスが女を睨む。

 その先にいたのは彩音だった。
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