ジャス

「流石ね。全て分かってしまったのですね。」
 彩音の髪がバサバサとゆらめく。そして徐々に銀色の輝きを放ちだす。

「…遥か銀河の片隅に、唯一神の統べる銀河がある。…確かそこの種族は風を司ると聞いた事がある。」

「そう。我が故郷は今、滅亡に瀕(ひん)している。だからこの“銀河の至宝”が必要なのよ。」

 彩音が、手にした“石”をかざした。

「噂では聞いていた。港の底から見つかった不思議な石、それが官庁に保管してあると。それが銀河の至宝だったとはな。」

 銀河の至宝。それは星々の生命体を育む要(かなめ)となる宝石で、生命の住む星には幾つか存在する、星々の豊穣・滅亡さえ左右すると言われる至宝である。


「だが、それは星の生命を維持する至宝。お前が奪えばこの地の生命体はどうする気なのだ。」
 ジャスは彩音を睨む。

 銀河の至宝は、地球にもかなりの数が存在し、一つ無くなったとて滅亡うんぬんと言うことはないが、奪われた範囲の生命の輝き・作物の豊穣にダメージを与えるには十分のものがあった。
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