ジャス

「私とて悩んだ…新太郎の野望を止めて、この星でつつましく生きよう…私の故郷の事も忘れよう…そう思った。」
 彩音は低い声で呟いた。その言葉に、嘘・偽りは無いように感じる。

「…ならば何故。」

「新太郎の憎悪・悲壮・野望、それらの感情を、私は消す事は出来なかった…それに私の故郷では私の帰りを待っている人々が大勢いる…」
 言って彩音は目を閉じる。

「…どうする事も出来なかったと…それが運命(さだめ)だったと…そういう事か。」
 ジャスの顔に焦燥感が浮かんだ。

 その言葉に彩音が俯く。
「運命…そうかも知れない…私の本当の名は、“リバティ”…暗黒の一族!」

 そしてその体躯が徐々に宙に浮き出した。

「…リバティか。だが、お前の好きにはさせんぞ!!」
 ジャスが彩音に踏み出す!

 ガシャーン!だが彩音は窓を破り外へ飛び去った!。

「…残念だわ、ジャス。私達はもう戻れない、この“至宝”は貰った!」
 窓の外、彩音の声が響いた。

「逃がさぬぞ!」
 ジャスも後を追い外へ飛び降りる。
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