ジャス

「くそっ!」
 咄嗟にジャスが身をよじる。その身を竜巻に合わせた。

 刹那、五月雨切りが炸裂し竜巻が弾け飛んだ!

「逃げるんだ!」
 ジャスは人々に向かって叫ぶ。

「…そうだ!逃げろーっ!」
 ジャスの一言に、人々は蜘蛛の子を散らす如く逃げ始める。

 ジャスは再び視線を彩音に向ける。

「その“石ころ”を捨てるんだ!意識を支配されるぞ!」
 そして言った。

「この石は凄い威力よ。感覚が研ぎ澄まされるのを覚える。まるで私が私で無いようにさえ思えるわ。」
 しかし、ジャスの思いも虚しく彩音は笑い返す。その表情はさっきまでとは違う妖しさが感じられた。

 銀河の至宝。それは持ち主の能力を増幅する。だがそれと共に、悪意・野望さえも増幅させるのだ。

 それ故に、彩音の“真の心”は封じられたも同然だったのだ。
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