ジャス

「どうなってるんだ?」
 やがて新太郎は官庁内から飛び出した。

 目の前に広がる光景、それは信じられぬ物だった。周りの建物は粗方(あらかた)瓦礫(がれき)と化している。その一角でジャスが空を睨んでいた。

 ズカーン。竜巻に弾かれた瓦礫が新太郎に向かい飛んでくる!

「うおっ!」

「新太郎!逃げるんだ。」
 ジャスは咄嗟(とっさ)に宙に舞い、新太郎の身を保護した。

 危険を脱した新太郎。改めて辺りを見回す。

「…いったいどうなってるんだ?」
 それでも事態が飲み込めずジャスに訊ねた。

 ジャスは何も言わず、ただ空を睨んでいる。

 新太郎もその様子を察しその方を向いた。

「あ…彩音?!」
 愕然と言い放った。
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