ジャス

「さあ観念するんだ、リバティ!今ならまだ罪は軽い。」
 ジャスは彩音に刀の切っ先を向ける。

「くっ…」
 戸惑う彩音。視線を新太郎に向けた。

「新太郎、その石を渡して。」
 そして懇願する。

「駄目だ!元の優しい彩音に戻ってくれ。」
 新太郎は言って拒否する。

 だが次の瞬間だった!

 それは狂気の光景だった。彩音が新太郎に向かって踏み出した…その手に短刀を構えて!

 至宝の呪いはまだ消えてはいなかったのだ。

「新太郎!!」
 事態に気付いたジャスも新太郎の元に走りだす。

 だが新太郎と彩音の距離は既に数間歩程。間に合う筈は無い!

「ぐあーっ!」
 彩音の狂気じみた叫びがあがる!

 だが新太郎は両手を垂らし、ピクリとも動かなかった。…まるで彩音を迎え入れるかの様に…
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