ジャス

「…もう止めたらどうだ。」
 カウンターに座る男が言った。それはジャスだった。ジャスはウルフ星の民族衣裳を着込み同化していた。

「何だと?貴様も仲間か。」
 隊員達はジャスに視線を移す。

「ほおー、どうやらこの星の人間ではない様だ。…関係ない奴は引っ込んでて貰おうか。」

「確かに関係はないが貴様等がいると酒が不味(まず)くなる。…消えてくれないか?」
 静かに言い放つジャス。

「よく言った…ならば貴様も逮捕してやる!」
 隊員は警棒を握り締め、殴り掛かった。

 だがジャスは軽く避ける。そして隊員のみぞおちに右拳を叩き込んだ。隊員が床に倒れ込む。

「貴様!許さぬぞ!」
 その様子を確認し、別の隊員が銃を引き抜いた。衝かさずジャスに狙いを定める!

 刹那、ジャスの姿が消える。慌てて辺りを探す隊員。

「…そんな物、早くしまえ。」
 後方で声がする。

 隊員は愕然となり振り返った。

「…う…!?」
 そしてジャスと目が合い崩れ落ちた。

「ひ…ひとまず退却だ!」
 残りの隊員達は逃げる様に走りだした。

「ま…待ってくれ!」
 倒れ込んだ二人も、後を追い店内を後にした。
< 52 / 79 >

この作品をシェア

pagetop