ジャス

「くくく…ハッハハハ!」
 不意にジャスが高笑いしだした。

 唖然とする隊員達。
「…な…何がおかしい!」
 堪らず隊長が問い質す。

「…いや、すまん。…暗黒神・風牙は、自分に従わなければ、全てを滅ぼすと宣言した。今は王家最後の末裔アロマを捧げよとさえ言いだすしまつ。…お前等は星を滅ぼさぬ為に、辛(つら)い任務をしているのだな。」
 淡々と話すジャス。


 この六日間でジャスはアロマの置かれている現状を探り出していた。

 数十年前、残された王族姉妹は、まず姉がウルフ星を救う術を探しに、星を飛び出す。

 だが姉は未だ帰る事は無かった。

 風牙は戻らぬ姉を“星を裏切った”として、残された妹・アロマを生け贄に捧げよと号令したのだ。
 人々は戸惑った。今迄も神への生け贄の儀式は続いていた。だが王家の人間を生け贄として捧げるのは、身を引き裂かれる思いだった。
< 60 / 79 >

この作品をシェア

pagetop