ジャス

「そいつがアロマを?」

「そうだ。ビブバはかつて王家の大臣をしていた。だが王家亡き今は、儀式の全てを仕切っていて生け贄の禊(みそ)ぎの手配もしているんだ。」

「そいつは今どこに?」

「このシルバの中央神殿にいる。」

「そうか分かった。」
 ジャスは全てを聞き終えると入り口に向かって歩きだした。

「…なああんた、アロマ様を助けだして、その後どうする?…神の裁きがあるぞ。」
 スティーブが訊ねた。

「神?そんな者は知らぬ。…だがそいつが向かってくるなら、俺はあえて“神殺し”となろう。」

 その言葉に隊員達は一斉にジャスの背中を見据えた。

「…そ…そんな事をしたら!」
 咄嗟にスティーブが立ち上がる。

 が隊長がその肩を掴んだ。

「隊長?」
 振り返るスティーブ。

 隊長は首を横に振った。
「…良いんだスティーブ。この星が滅ぼされるならあまんじて受けよう。それがこの星の運命だ。…それにあの男なら何かを変えてくれるやもしれん。…そんな気がするんだ。」


 入り口を出ていくジャス。その姿は夕日に照らされ神々しく輝いていた。
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