ジャス

 そしてこの日、王家最後の末裔アロマが生け贄として捧げられるのだ。


 予託者ビブバが一人の巫女を引き連れ祭壇を上っていく。その後を追うように棺を担ぐ男達が続く。

「これで王家は滅びるのか…」

「どうしてあんな優しい子が…」

「リバティ様が生きていてくれれば、こんな事にならずに済んだのに…」

 壇下ではすすり泣く様な声が聞こえる。


 やがて祭壇の頂上に棺が置かれた。

 担ぎ手はその場を離れ、ビブバは棺の前にひれ伏し、後方に巫女が鎮座(ちんざ)する。

 暫く後、ビブバが何やら呪文らしき言葉を唱え始めた。

 それと歩調を合わせ、壇下では神に捧げる踊りと祈りが始まった。


 数分後、黒い闇が現われた。それは瞬く間に、祭壇の頂上部を包んでいく。
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