ジャス

「…いずれにせよ、この星は終わりなんだよ。」
 誰かが言った。人々の視線はその方向に注がれる。

 そこに居たのはあの隊長だった。後方にはスティーブの姿もある。

「治安部隊がどうしてその様な台詞を?」
 人々は戸惑いを隠しきれない。

「…あの人、私を助けてくれたのよ。」
 スティーブの後方から声がする。そこには十歳程の女の子が立っていた。

「アロマ様!」
 人々は驚き叫んだ。大方の人々には安堵の表情が伺える。だが暗い影は拭えない。

「星を救う為と、私達はこの様な幼く優しい子まで犠牲にしようとした。…だがそれは人の欲に過ぎない。…皆、目を覚ますんだ。」
 スティーブが皆を諭す。

 その言葉に人々は返す言葉も出なかった。

「大丈夫だよ。…この星は滅びないよ。」
 突然、アロマが言った。

 アロマはまだ幼子ではあるが、その顔には聡明(そうめい)さが伺える。
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