ジャス
 二人は任務を終え、ジャスの住みかへと来ていた。

 時刻は午前二時。本来なら、会社員のヨッタにとって睡眠しなければならない時間ではあったが、今日は日曜日、ジャスの住みかで暇を潰す事としたのだ。

 ジャスの住みかは、ヨッタの家の裏手にあった。
 家と言っても只の家ではない。宇宙船なのだ。

 ヨッタは一ヵ月前、ある銀河テロリスト達と戦った。その時、敵から奪い取り、地球に持ち帰った小型宇宙船がこれだった。

「あーあ、眠さも消えちゃったよ。」
 ヨッタが、座った目線で呟く。

「ははは、珈琲でも飲むか?」
 ジャスが立ち上がり、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出した。しかもボスレインボーマウンテン。

「うん、貰うよ。」
 ジャスがヨッタに缶コーヒーを放る。ヨッタが受け取った。

「ジャスって、このコーヒー、好きだよね。会う度に飲んでるもん。」
「まあ、宇宙人はこれを飲むんだよ。」
 あっさりと言い放つジャス。


 一ヵ月前、ジャスはある宇宙人に『宇宙人はこれ飲むでしゅ。』と教えられていた。


「ふうーん。」
 適当に躱(かわ)すヨッタ。

「それより、ジャスは仕事、何やってるの?」
「俺か?コンビニでバイトだ。時給三百円、いい稼ぎだろう。」
 ジャスが満足気に頷いた。

「…三百円?小学生か…」
 愕然とするヨッタ。

 最強を誇るスーパーヒーロージャスであったが、只一つの欠点が、金銭感覚が無い事だった。

 金銭感覚“0”、それがジャスの渾名(あだな)であった。

 因みに今回も、出稼ぎの外国人と間違われ、コンビニの店長から足元を見られたのだった。
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