ジャス

「くかかか!…そうか…合点(がてん)がいった…だが、ワシの魂(たましい)までは取られはせん!」
 おぞましい執念だった。『神は肉体が無くとも魂だけで存在する』風牙は気力を振り絞り、ジャスの体に潜り込む!

 ジャスの体から黒い闇が染みだした!


「う…嘘だろう?あいつ、風牙に体を乗っ取られたぞ…」

「やはり神にはあがらえんのか!」

 人々の顔から笑顔が消える。


『お姉さま!』アロマは、両手を合わせ天に祈る。



「くそ狼が!消えろ!!」
 突然、ジャスが叫んだ!

 風牙の闇がうねりを上げてジャスの体に封じ込まれていく。

 意外な展開に人々は言葉も出ない。


 星全体が、穏やかな静寂の中に包まれていた。

 清々しい太陽。微かに風が吹いている。

 空を小鳥が飛び交う。爽やかな青空。

 全てが生き生きとしていた。
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