ジャス

「お兄ちゃんありがとう。」
 アロマが言った。

「よお、お嬢ちゃん。言ったろ、必ず助けるって。」
 ジャスはしゃがみ込みアロマに笑いかけた。

 人々は輪を作りその様子を眩しそうに見つめる。

「うん。約束したものね。」
 アロマも笑いかけた。とびきりの笑顔だった。

「そうだ…お嬢ちゃんにこれをやろう。“王女さま”には必需品だ。」
 ジャスは先程拾った何かを渡した。それは数個の石ころだった。


「そ…それは!?」
 ビブバが慌てて駆け寄る。

「あのくそ狼が飲み込んでいた物だ。」
 ジャスが言った。

「これは星から消えた銀河の至宝!」
 ビブバはゴクリと唾を飲む。

「あの風牙は、その身を維持する為、銀河の至宝さえも食らったのだろう。少しもこの星の事など考えていなかったんだろうな。」
 ジャスの言葉に、人々は改めて風牙の恐ろしさに驚愕する。

「まあそれはさておき…これからだぞ、この星がどう変わるのかは。」
 ジャスが語りかける。


 全ての人々の頭上で美しき空が広がっていた。
< 77 / 79 >

この作品をシェア

pagetop