ジャス
ウルフ星
その後ウルフ星は目まぐるしい回復を見せる。
銀河の至宝の奪回により作物は豊かに実り、荒野と化した大地は緑を取り戻しつつあった。
「アロマ様?アロマ様。またここでしたか。」
ビブバの声が聞こえる。
その視線の先、溢れんばかりの花に包まれた庭園がある。
そこに少し成長したアロマの姿があった。
「まったく、あなたときたら…“戴冠(たいかん)式”が始まりますよ。」
ビブバがホッと息を吐く。
「ゴメンねビブバ。今お姉さまに挨拶をしていたの。」
アロマが笑う。その傍(かたわ)らには小さな墓標が祭られていた。
「リバティ様ですか。」
ビブバの表情も引き締まる。
「ええ。…それと異国の戦士様。」
アロマが遠く天を見据えた。
『リバティ…彼女は異国の地で彩音と名乗っていたんだ…彼女には愛する戦士がいた。戦士の名は新太郎。…あの星では二人は添い遂げる事は出来なかった。だが、せめて亡くなった後は一緒にしてやりたかったんだ。』ジャスの言葉が頭をよぎった。
「私も見てみたかったですな。大銀河のスーパーヒーロージャス様が認めた、その新太郎という人物。」
ビブバが頷いた。
「ふふふ。そうねどんな方だったのかしら。」
アロマが笑う。
「…!それより、早く宮殿へ。あなた様は今日から女王様なのですから。」
ビブバの言葉が、途絶える事なき空に響いた。
遥か銀河の片隅にウルフ星という星がある。そこには新太郎と彩音という人物が寄り添う様に眠っている。
二人は様々な時代の激流に揉まれながらも、最後の最後で決して引き裂かれる事無き安住の地を見つけたのだ。
英雄列伝
GALAXY HERO
ジャス伝
完