浅葱色の瞳に
「よぅ、目ェ覚めたか?」



声のする方に目をやると黒の着流しに身を包んだ綺麗な男性…


背が高い

艶やかな長い黒髪

涼しげな顔立ち




俳優さんみたいだ…



この人があたしを運んでくれたのかな…





「あ…はい…あの…」


「お、お前喋れんのか」



「へ?」


「お前、メリケン人だろ?」


「メ、メリケン?」


「違うのか?エゲレスか?」


「エ、エゲレスぅっ?」



「幕臣の娘…ってのもなさそうだな…」




「…バ…?バクシン?」





…言ってる事がよくわからない




ただ鸚鵡の様に繰り返し喋るだけのあたしを見て、あちらも混乱しているのか眉を潜めている




「まぁいい…お前名は?」


「え、あ、はい、マリエって言います…」




「鞠絵か…鞠絵、腹は減ってるか?」



「お腹ですか?まぁ…はい…」




「お前は細過ぎて見ちゃいられねぇ、食った方がいい、ちょっと待ってろ」



そう言って部屋から出ていってしまった




聞きたい事は何一つ聞けずじまいで……
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