浅葱色の瞳に
―――――…
……くそっ、何で俺ァ夷人の世話なんかしてんだ!?
あれからずっと寝付けず朝を迎えていた
夷人は変わらず規則正しい寝息を立てて俺の布団を占領していて…
厠に用を足しに部屋を離れ、戻ると夷人は起きていた
「よぅ、目ェ覚めたか?」
夷人は振り返ると俺を青い目でまじまじと見てきやがった…
こんな近い間合いで夷人を見るのは初めての事
「あ…はい…あの…」
ほぅ、驚いた
異国の言葉で喋りだすのかと思えば…
鳥のように高い声はか細く、今にも消え入りそうに言の葉を並べる
…しかしこんな上玉、島原の太夫にも転がっちゃいねぇぞ…
肌の艶やかさはまるで絹の様
華奢な体付きは触れれば壊れてしまいそうにしなやかで
潤った唇から漏れる吐息は妖艶さをも醸し出すが、顔付きはまだ幼さを残していた
童だか"女"何だかわかんねぇ…
あーどうしたもんか…
………って、俺ァいつから給仕になったんだ…
脚付き黒塗りの箱膳を持って夷人の居る俺の部屋に戻った…