浅葱色の瞳に
――――――…
「よぅ、待たせたな」
食え、とばかりに差し出された膳の上
焼き魚に煮物、味噌汁に白いご飯がこんもりと…あと漬物…
思い浮かぶのは"質素"の二文字
こんな和のテイスト溢れる朝食、見るのも食すのも初めての事だった
それもそのはず、アメリカ人の父を持つあたしの毎朝の食卓はシリアルかトーストのどちらか…
「どうした?食わねぇのか?」
そんな率直な感想を声に出さずに述べていると、手を付けろと遠回しに促された
「あっ頂きます!」
お椀を手に取り、焼き魚へ箸を付け、口の中へと入れてゆく
…………
無言の中、名前も知らない男性の視線はあたしへ向けられている事に気付いた
…怒ってるのかな
ちらちらと顔色を伺いつつ食事を進める
聞きたい事は沢山ある…けれども聞くタイミングを掴めないまま
「なんだ?俺の顔に何か付いてるか?」
「いやっ、全然!」
てゆーか、見てるのそっちじゃんっ
「…あ…あの、此処って何処ですか?」
「……あァ?」
「…拾って頂いたみたいで…朝食までご馳走になって、何から何までして頂いて有難いんですけど……此処って新宿ですよね?」