浅葱色の瞳に
「しんずく?……そんな国聞いた事もねぇな」


え?


新宿を知らない?



この人はあたしの事をからかっているのだろうか



「冗談辞めて下さいよ…!介抱して頂いた事にはお礼申し上げます……でも、これじゃまるで…拉致・監禁ですっ!」



自分では最もな事を言った気がする


けれども次に監禁野郎の口から出てきた言葉にあたしは呆気にとられる



「監禁だぁ!?人の部屋に勝手に入って来やがったお前は何様だ!?」


勝手に?


適当な事ばかり言う人

もう少しマシな嘘をついて欲しいものだ…



「…冗談はよして下さい!!!笑えないんだから!…もういい!警察に通報してやる!」


…自分だって薬物使用・所持で捕まるとはその時は切羽詰まって頭がまわらなかった


だけれど、自分が今何処に居るのか分からなくて本当に不安になってきたのだ


現状把握が不可能な場合、人は半狂乱の如く取り乱す


……目の前の監禁野郎は人の事を完全にナメていた


今まで自分が寝ていた布団の枕元に置いてあるバッグの中から携帯を取り出し、電源を入れる
しかし何度と電源ボタンを押してみても何故だか電源は付かない…



「どうして…?……あの、充電器か電話貸して下さい…本当に、知り合いに連絡取りたいので…」
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