浅葱色の瞳に
「…新撰組副長、土方歳三だ」



そうだ



この眉目秀麗の顔立ち、教科書や資料集で嫌と言う程眺めてきた



土方歳三の顔は肖像写真として写真で現存している



その写真と瓜二つなのだ





「……土方さん…今年って平成21年ですよねぇ……?」



監禁野郎改め土方歳三の口が開く度、心臓は血液を身体中に送るのを停止してしまいそうな気がする



自分で聞いておいて世話はない



それでもきっと聞かざるを得ない



「へいせい…?何だそりゃ…今は文九三年に決まってんだろーが」






一体全体どうなったのだろうか






あたしは飛び降り自殺をしたつもりだったのだけど





どうしたら飛び降りた先が幕末になるのだろうか





叩けばまだ埃は出てくるかもしれない




それでも此の疑わしい展開を信じざるを得なくなる





あたしは夢を見てるのか




それとも此処は天国なのか




頬をつねってみたのなら




鈍い痛みが頬にジワジワと滲んで行くだけで





その痛みはこの展開を夢ではない、死んではいないと教えてくれたのだった




「…土方さん、あたし、150年先の未来の日本から来ちゃったみたいです…」
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