浅葱色の瞳に
顔見知りのセキュリティに引き止められつつ外に出ると


ホールの熱気が嘘のよう



冬の訪れを肌で感じる11月初旬―



体感温度の差は激しく、外はまるで巨大なクーラーボックスのようだった




先程、大量に胃へ流し込んだテキーラの効能もたちまち切れる冷え込んだ深夜の新宿



日本最大の繁華街、灯りが消えることはないし、騒音が静まることもない





あたしはほぼ毎日と言って良い程この街に居る




別に好き好んで来ている訳じゃない




見知った顔はそこら中に居て、ホストやクラブなんていう遊び場もあるから暇を持て余す事がない



何かを考えたり悩んだり…そんな遊ぶのに無駄な思考も、騒音とアルコールが奪ってくれる



ドラッグだってこの街で覚えた




ただ、それだけ


それがこの街だったっていうだけ





あたしのこの危ない好奇心は子どもの頃から人一倍強く、新しい玩具や知らない遊びは自ら進んで覚えていった





だから此れから行く場所だって、不安や躊躇なんていうマイナスな感情は一切ない



いや、<行く>と言う表現はまだ早いかもしれない、この場合<目的地>と表した方が適切なのだろう














…身体の火照りはとっくに冷めていた
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