浅葱色の瞳に
何らかの形で覚醒し、何らかの形で我々の前に立ちはだかろうってェなら


容赦なく、躊躇なく切り捨てる



あまり深入りは禁物だが…



……まァ、下手な情は皮肉な事に"鴨"で無駄だとわかった


此の組織を作り上げ、そして名を上げる上では情も糞もあったもんじゃねぇ




立ちはだかる者ならば切り捨てる



邪魔な者も切り捨てる




………其だけのこった……






…面倒な事を思い出しちまった





…気でも払うか……





非番の隊士が稽古を終えて屯所内に戻ったのを確認すると、木刀を手に取り素振りを始める


邪念でも取り払うかの如く…







――――――………




「…土方さんまだかな」




一人の空間に飽き飽きし出し、物のない殺風景の部屋で大の字に寝転がり暇を持て余す



…あたしは何てあっけらかんとしているのか


慣れというものは怖い


既に異世界に順応している自分に気付く



あたしにこんな順応力が備わっているとは、とまた新たに知らない自分を発見した



まぁ、慣れたと言ってもこの"空間"にだけ限定される



障子戸の外へ身を投げ出されればまた、混乱の渦に巻き込まれることを理解していた
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