浅葱色の瞳に
「……あたしだって…好きでこんなところに来たわけじゃない……」



精一杯の反抗は



何処かひねくれていて



声を荒げる事もなく、ただ小さく呟く事しか出来なかった




「…そんなに珍しいですか?…そんなに嫌いですか…?あたしだって好きでこんな色で生まれきたわけじゃない…!」




「…………」





思い出すのは幼少時代




幼い頃に受けた傷は簡単に閉じることはなく

漸く癒えたと思いきや何気無い言動でパックリと開いてしまう




父には大変申し訳ないけれど




金髪と青い瞳はあたしの最大のコンプレックスだった




ある程度大人へ成長すれば周囲の理解は簡単だ



けれども幼い思考は其を理解しようと思ってくれない

遠慮というものをしてくれない





昔の事でも



其はトラウマとなり、あたしの中で死ぬまで語り継がれる





…好奇の目で見られていたあたしの辛さをこの人は知らない





知らない癖に…









"苛められていた"


"父と母が死んだ"


"受験に失敗した"


"努力が裏切った"




そして…"自殺した"










無理矢理忘れていた記憶は一瞬にして脳味噌を所狭しと駆け巡り



封印していた出来事は事細かに、引きずり出されるかの様に思い出された
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