浅葱色の瞳に
――――――……
「面倒な事に巻き込んじまったみたいだな…」
夷人を布団に寝かせ終わると、一息がてらに煙管に火を付ける
とんでもねェ厄日だ…
部屋に戻ると夷人は畳に伏せっており、傍らには相も変わらず無表情の斎藤がこじんまりと夷人の介抱を承っていた
見張りは任せたが、まさか気を絶たせろと迄は言っちゃあいねェ
……逸れとも何か"やらかした"か…?
事の成り行きと詳細を斎藤に問い質す為、夷人に床を用意してやり今に至る……
「…私は面倒な事に巻き込まれた覚えは御座いませんが」
「……何があった」
「夷人の気が僅かに殺気立ち、其の巾着の様な物に手を伸ばそうと致しました故、及ばせながら脅しを仕掛けました」
「……気が絶つ程の脅しとは……相も変わらず女にも容赦がねぇな」
隊内で唯一総司と互角に渡り合えるだけある……誰に対しても気を抜かないのは流石と言うべきか
「御言葉ですが、副長御自身も私と同じ事をされるかと………逸れと夷人は"自身で勝手に意識を手放しました"」
……?
「どういう事だ」
「私の言葉に錯乱した様子…心の病に掛かっているかと見受けられます」
「何と言った」
「……"無駄な戯れは一切期待するな"……と申した所存です」