浅葱色の瞳に
斬り捨てる……か




妙に気に掛かったのは何故か、考える前に斎藤が言葉を続けた





「………"敵になれば"………の話ですが」




刺客や間者の疑いは薄い、と言う事だろう



まぁ、あんな下手な刺客は探してもいねェからな……




「しかし油断めされるな…あの夷人には疑わしい箇所が多過ぎるかと



「……俺を舐めているのか」



まるで俺があの夷人を気に掛けているかの様な斎藤の言い種に無性に腹が立つ



疑わしい以外に他ァねぇ


……斎藤は何馬鹿な事言ってやがんだ




「…失敬」








含み笑いを伴いながら謝罪の言葉を並べる斎藤を見逃すとしたが、やはり苛付きは隠せちゃいない





「ハッ………斎藤、まどろっこしい話は止せ……いい加減に本題に入ったらどうなんだ」




焦りを隠すかの様に斎藤を急かした




見透かされていない事を願う






「……長州勢の動きについてご報告したい事が幾つか…」





忍よりも忍らしい此の男




三番隊隊長であると共に撃剣師範をも勤めている



腕は確かに






そして気配の消し方では隊内一…




職を見誤ったな






間諜として長州勢に送り込んだ斎藤の収穫を聞き出す為に、障子戸を今一度固く閉じた
< 39 / 75 >

この作品をシェア

pagetop