浅葱色の瞳に
訳が分からなくて、ぶつけようのない酷い苛立ちを覚える





幾ら問い質しても自分自身に答えを見い出せない





面倒臭い…




自分が大変厄介だった




「……訳分かんないや」








「何がです?」







―…か細く、まるで笛の音色の様な声だった


優しくて、暖かで

何故か懐かしさを覚える穏やかな声





ゆっくりと声のした方へ首を傾ける




少し開いた障子戸の向こうで、縁側に腰掛けるはこの世界で初めて出会う女の人





「……お寝坊さんですね、もう直に戌の刻ですよ」



くすくすと小さな笑い声をたてながら微笑む彼女は目を細める




毛先を切り揃えた胸下までの黒髪は月明かりに照らされ碧みがかって見え、


冷たくなった風が吹く中、薄い浴衣一枚の為か肌は雪の様に白い


円らに潤った瞳に添えられた小さな鼻と唇




まるで由緒正しい市松人形




少し欠けた月を背景にする"日本人形"は大変画になり、そして神秘的に目に映る




強いて言うなら…





「…かぐや姫?」








「ぷっ……あははっ!!…あなた面白い事を言いますねぇ……私がかぐや姫ならあなたは竹取りの翁ってところでしょうか?……あははっ」




口を大きく開けて笑う彼女は少女の様で



月に吸い込まれて儚く消えてしまいそうに感じた
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