浅葱色の瞳に
「…ちッ……お前は目上の者に対して敬意の払方ってもんを知らねェようだな…箱入り娘でもあるめぇし」




いくら悪気が無かったとしても初対面で呼び捨てにされるなんて感じの良いものではないだろう

況してやこの時代だ…
無礼者として手打ちにされてもおかしくはない


近藤さんの懐の広さに圧巻する



「す、すみません…」


「うんうん、気にしなくて良いのだよ…どうも歳は憎まれ口叩く癖が……さあさ、何時までも突っ立ってないで座りなさい」



「あ…」



促されるも腰を降ろして良いものか変に遠慮がちになってしまう



「あ、えと…」

「ふふ…何も取って食う訳じゃないのですから…」



気が引けて中々座れないのに気付いたのか、"さあ、"と後ろから沖田さんが背中を押してくれた



「…すみません」



謝ってばかりだ



何だか自分が大変惨めな立場に居るのだと思えてきてしまう



それ以前に場違いであると言うのに



「何故謝る必要があるのです?あなたは何も悪いことなどしていないのでしょう?……逸れとも何か疚しい事が?」


「…っ、何もないです!」


「なら胸を張りなさい…堂々としていれば良いものを、その様に項垂れられては此方としてもあなたを疑わずには居られない」


「……」


「"疑わしきは罰せず"…ですよ…大丈夫、近藤さんも土方さんも、勿論私も…あなたの言い分も聞かずに切り捨てたりなんてしません」
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