浅葱色の瞳に
「うんうん……私は局長の近藤勇と申す…もう既に私の事を存じているみたいだがね…して娘さん、名は何と申すのかね?」



とは言ってもやはり緊張する…


何故ってあの近藤勇と言葉を交えるのだ



名誉挽回
失礼の無いよう気を付けなければ…



「…マリエと言います」


「鞠絵か…うんうん、良い名だ……鞠絵とやら、見た処まるで夷人の様な容姿をしているが……」



「あたしの父はアメ……えと、メリケン人で…母が日本人です…メリケン人と日本人の間に産まれたのがあたしです…だから生まれ育ったのも日本です」



「ふんふん…其の様な成りをしながらも我々と会話が成り立つのは其のせいか…在所は何処になるのかな?」


在所…


住んでる所かな



「東京です」


「とうきょう?」


「あ、江戸…ですね」

「行く末は江戸はとうきょうと言う名になるのか」


「え?」


「いやなに……歳から話は聞いたもんでな…鞠絵は未来から来たと聞いたが其は誠の話か…?何やら隊内の粛清を行う極秘の日程を言い当てたらしいじゃないか」


「はい…っ!本当です!嘘じゃありません…っ!」


「お、おお…こらこら落ち着きなさい…誰も鞠絵を塙から疑っているわけではない」



つい興奮して身を乗り出してしまった


恥ずかしい…



ふと後ろを振り返ると、あたしの数歩後ろにいつの間にか沖田さんが静かに佇んでおり


あたしと目が合うと沖田さんは笑顔を綻ばせた




変わって土方さんはと言うと身体を僅かに揺すりつつ、目を瞑りながら近藤さんとあたしの話を真剣に聞いて居るようだった
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