浅葱色の瞳に
「何と…!……鞠絵、口説い様だが其の話は真の誠か…?信じてあげたいのは山々なのだが…どうも信じ難い…と言うのも我々の想像を遥かに越えている…なぁ、総司…」



「ええ…けれども鞠絵さんの話が本当なら此の国の安泰は心配要りませんね、後世に渡る子供達の事も…夷国へ好きに行き来出来ると仰って居ましたし…私は政には疎いのですが、私達がこうして京の治安を守るために日々精進している事は決して無駄では無いのですね……嬉しい事です」





未だ見ぬ未来への理想を想い描いて居るのだろう、沖田さんは胸に手を当てながら心の底から喜んで居るようだった





何故そう思えたかって、少し俯き加減の沖田さんの表情は柔らかで優しい微笑みを作っていたから…







見てるこちらが幸福に包まれてしまう程





心が洗われる様で、表情一つでここまで人の気持ちを動かせるなんて




沖田さんは余程、純粋で清らかな心の持ち主なのだろう






















……けれど、何故だか沖田さんのその暖かな表情を目にした瞬間




ごちゃ混ぜになった感情が止めどなく込み上げ




自分自身でもその原因が良く解らないまま、嗚咽と、そして涙となって外に漏れそうになるのを近藤さんの問い掛けが制止してくれた



「………もしや鞠絵が私の名を存じていたのは其のせいか?もしそうならば我々は何かしらの功績を世に残し、歴史に名を刻み、そして代々親が子へと我々の名を語り継いでいると言う事か?」
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