浅葱色の瞳に
「…あー…えーっと…」




…痛いところを突かれた



確実に話の成り行きは未来の人間として知り得る事柄の真相へ、そして核心に迫っている



やはり後々に歴史上へ大きく名を残す組織の長だ…あっけらかんとしていても、妙なところ勘が良い




…昼間の土方さんの抜刀の理由は、あたしが知る新撰組の末路を聞き出す為だ



あの時の展開を恐れている訳ではないのだけれど、避けて通りたいのが正直なところ



半ば押し付けがましい近藤さんの詮索は、あたしにとって確実に触れては欲しくない話の種であり、そして大変誤魔化し難い難関であった



「…そういやァお前、俺の辞世の句を知ってるとか何とかほざいてやがったな」




「…!」


「…!」



「あー…」




土方さん…


少しは空気を読んで欲しかった




「あン時ゃ巧く逃げ切りやがったなァ……忘れたとは言わせねェぜ」




あの抜刀の時は土方さんも納得してくれたと思った


その真相に付いての究明は命を張ったあたしの行動と語り掛けに免じて終わったかに見えた





なのに…





「土方さん…あたし、その話はてっきりあの場で終わったかと思ったんですけど…」



「ハッ…笑わすんじゃねェ…あんな生っちょろい下りで流される馬鹿一辺見てみてェってんだ…俺は近藤さんみたく甘くねェ…俺を誤魔化そうなんざ考えるだけ無駄なこったァ」
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