浅葱色の瞳に
「まっ鞠絵、既に床に就いた隊士も居るのだ…余り大きな声を出さんでくれ…歳!お前もいい加減にしろっ!……そ、其よりも…鞠絵が此の時代の人間では無いのならば本来居るべき時代に鞠絵を戻さねばならぬのだろう!?」





…耳をそばだてると同時に近藤さんの言葉を良く理解しようと思考回路が稼働する




そうだ




兎に角元の世界に戻る手立てを探らなければ何も解決しない



何よりもあたしは此の時代に居るべき人間では無い



あたしが此の時代に存在して居る事事態、歴史はもう狂っているかも知れないんだ…



産まれてくるべき人間が…起こるべき事変が…迎えるべき発展が…



あたしが原因で狂ってしまう…





自覚して居たと言うのに…目先の感情に捕らわれて脳味噌の中から綺麗さっぱり忘れ去られていた





「…はぁ……二人共言い争って居る場合では無いだろうに…鞠絵が元の時代に戻る術を考えねばならん…何、案ずる心配は無い…此の時代に来れたのだから必ずや元の時代に帰れる術はある筈だ…でなければ話が繋がらん」




…確かに此の時代に来れたのだから必ず元の時代に帰る為の手立ては用意されている筈だ


でなければ辻褄が合わない…



けれどもその推測は"起こるべき条件下に居合わせた"場合に限定される



もしかしたら悪戯に…只、突発的に生じてしまっただけかもしれない…


だとしたら元の時代に戻る事は先ず不可能だろう




"時空間移動"と呼ばれる非科学的なもの…



あたしには映画や小説に用いられる舞台設定…なんて概念しか備わっていない…
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