浅葱色の瞳に
「…ぷっ」



…堪え切れずに少し吹き出してしまった



「な…っ!…鞠絵!何が可笑しい!?」



「あ…ごめんなさい…近藤さんが可愛いくて…遂…」



「か…可愛いとな?」



「…勝っちゃん…餓鬼に舐められてどうすんだよ…」



「…ぷーっ…!」




土方さんの突っ込みに沖田さんも盛大に吹き出した





近藤さんに恥をかかせてしまったかもしれない、けれども純粋にそう思った



勿論、近藤さんを舐めている気など微塵もない



自分より一回りも歳の離れた、厳つい空気を醸し出す大の男が顔を赤らめ照れ隠しか視線をきょろきょろと浮わつかせているのだ



母性本能が引き出され、擽られるのも致し方無い



「ゴホ……可愛い等と…武士に向かって口にするとは頂けないな…鞠絵…言葉は選びなさい……は、話は戻るが…つまりだな…そういう訳だ…一つ屋根の下…床を共にし、同じ釜の飯を食うとなれば…どう気をやっても必ずや鞠絵の密事は知れてしまうだろう…かといって特別扱いでも仕様ものなら逸れこそ他の隊士から顰蹙や疑念を買ってしまう………歳、お前は他の隊士に鞠絵の密事が知れ渡った場合どうするつもりだ」



「………」




土方さんは…何て答えるつもりなのだろうか…


近藤さんに問い質されると目を瞑り、黙りを決め込んでしまった



厭、もしかしたらちゃんと対策と対処方法を考えてくれているのかもしれないのだけれど…



やはり気負いしてしまう…何故って近藤さんの言っている事は的確なのだ…



正直あたしだって…"女"だと周りに気付かれない自信が有ると言えば嘘になる…



加えて"夷人"というおまけすら付いているのだから…
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