浅葱色の瞳に
もしも隊内に攘夷志士が紛れ込んでいたら…間違いなく只では済まないだろう
最悪、隊内で闘争が勃発してしまうかもしれない…勿論、あたしが発端となった…あたしが起こした、戦争…
其だけは嫌だ…
何としてでも避けたいと願う展開だ
あたしが原因で歴史を滅茶苦茶になんてしたくない…
「鞠絵…どうか勘違いはしてくれるな…私はお前を此処に置く事に反対している訳では無いのだ…鞠絵を無事に元の時代へ送り出せる様に…何れ来るべき日まで…鞠絵が何の不自由を感じる事無く此処で健やかに暮らせる様に…事前に立ちはだかる問題を悉く解決して仕舞いたいのだ…お前が此処…屯所として借り受けている前川邸に舞い降りたのも何かの縁だ…何、なんの心配も要らん…父母も嘸やお前の身を案じている事だろう」
…"父母"と言う単語に引っ掛かりを覚えた
たった二文字
たった二文字の何の気なしの些細な言葉が、此れ程までに負荷として乗し掛かる
土方さんの促しに助けられ、やっとこさ近藤さん達についた"嘘"が、先程とは打って変わって罪悪感と共にこんなにもあたしの事を考えてくれている近藤さんに嘘をついたという自己嫌悪の念が腹の底から滲み沸いた
…一つ嘘をつけば、其の嘘を突き通す為また嘘をつかざるを得なくなる
もう嘘はつきたくなった
「両親は…居ません…既に亡くなっています」
「何と……ではお前は天涯孤独の身の上とな?」
「そうですね…此処暫くは…頼れる親類も居りませんでしたから」
「…益々不憫に思えて致し方ならん…未だ幼いと言うのに…大層な苦労を背負込んで来たのだなぁ…案ずるな、お前に不幸は似合わん……お天道様に背く行い等せずとも生きていれば必ずや良い事がある…」
最悪、隊内で闘争が勃発してしまうかもしれない…勿論、あたしが発端となった…あたしが起こした、戦争…
其だけは嫌だ…
何としてでも避けたいと願う展開だ
あたしが原因で歴史を滅茶苦茶になんてしたくない…
「鞠絵…どうか勘違いはしてくれるな…私はお前を此処に置く事に反対している訳では無いのだ…鞠絵を無事に元の時代へ送り出せる様に…何れ来るべき日まで…鞠絵が何の不自由を感じる事無く此処で健やかに暮らせる様に…事前に立ちはだかる問題を悉く解決して仕舞いたいのだ…お前が此処…屯所として借り受けている前川邸に舞い降りたのも何かの縁だ…何、なんの心配も要らん…父母も嘸やお前の身を案じている事だろう」
…"父母"と言う単語に引っ掛かりを覚えた
たった二文字
たった二文字の何の気なしの些細な言葉が、此れ程までに負荷として乗し掛かる
土方さんの促しに助けられ、やっとこさ近藤さん達についた"嘘"が、先程とは打って変わって罪悪感と共にこんなにもあたしの事を考えてくれている近藤さんに嘘をついたという自己嫌悪の念が腹の底から滲み沸いた
…一つ嘘をつけば、其の嘘を突き通す為また嘘をつかざるを得なくなる
もう嘘はつきたくなった
「両親は…居ません…既に亡くなっています」
「何と……ではお前は天涯孤独の身の上とな?」
「そうですね…此処暫くは…頼れる親類も居りませんでしたから」
「…益々不憫に思えて致し方ならん…未だ幼いと言うのに…大層な苦労を背負込んで来たのだなぁ…案ずるな、お前に不幸は似合わん……お天道様に背く行い等せずとも生きていれば必ずや良い事がある…」