浅葱色の瞳に
「今度ばかりは総司の言う通りだ、歳…局長としての面子は丸潰れだが、新撰組はお前が作り上げたと言っても過言では無い…其を自ら崩してどうする?…昨今は不逞浪士に止まらず過激派の攘夷志士までもが続々と入洛していると会津本陣の報告書に記されておった…忌むべき日に備える此の時期に"内から"攻め込まれる危機がよもや有る等と………容保様のお耳に入れば酷く落胆され…」

「隊の厳秘情報を口外……逸れ即ち主君を裏切り忠誠に背いたと取る………"士道に背き間敷事不許"に該当すると思わねェか」





「…!」






「………同じく…処罰に反感を持った輩が隊内で暴動行為を行ったとする…逸れ即ち"私の闘争を不許"に該当すると俺は取る………おう、総司、他ァ思い付く問題があるってンなら手短に言いやがれ…聞いてやる…だが忘れるんじゃねェ………隊内の総てを"掌握し、牛耳っている"のは勝っちゃんと此の俺だ」





土方さんがそう言い切ると只でさえ静かに時が流れる近藤さんの部屋が、最大の静寂を持って沖田さんの返答を待ち詫び、そして少しの間を置き迎えた



「………ふふ、やはり貴方には敵いませんねえ…頭の切れる人だ」




釈然としない表情が一気に緩み、笑みが綻んだ沖田さん




凄い…



何がって、土方さんの手の回し様と巧みな解釈がだ





"局中法度"の内容は具体的に表現されている訳ではない…
大まかに、抽象的に表現されている為、事の解釈は近藤さんと土方さんの一存に委ねられる



つまり、言葉のアヤ…場面で言い換えられると言う事だ



二歩も三歩も先回りし、あらゆる場面を想定し先読みし、然るべき対処方法を用意しておく…



あれ程、策節していた大きな問題がこうも呆気なく…何の手応えも無しに解決してしまった
< 65 / 75 >

この作品をシェア

pagetop