浅葱色の瞳に
正直死ぬのは怖い



血を見るのは嫌いだし、痛いのも嫌


弱く脆く、ちっぽけで


意思も薄弱、勇気や度胸なんてものは皆無に等しい…





ドラッグなんてものは一般的に考えるなら非常識な罪の積み重ね



社会的弱者の単なる一時凌ぎの逃げ道―…




自覚はしている



でも今こそ必要なんだ
















……<タマ>の効き目は早い


死への恐怖は吹き飛び、痛みなんてものは感じない




萎縮する脳


波打つ心拍数


上昇する血圧



瞳孔は開き、言い知れぬ高揚感


恍惚の表情



止めどなく流れ出るアドレナリンは、あたしの背中に翼を生やす




安全対策の鉄柵なんて今のあたしにとっては邪魔な以外他はない




どうか可哀想だなんて思わないで




あたしは今とっても幸せなのです




期待で胸がいっぱいなのです



















―――地上との最後の接触になるであろう建物の上で




重力に身体を任せようと床を蹴った




翼が生えたから飛ぼうとしたのだけど






落ちてゆくばかりで



どんどん地面が近くなる





ああ、もうタバコの吸い殻だって見える
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