浅葱色の瞳に
「その通りだ」





「…?」





「山崎にあの餓鬼の素性を調べさせたのは"餓鬼の戯言"に耳を貸す重要性の再確認、最終段階だ」






「…説明してくれんか、歳」





「先刻も言った通り、素性が抹消されているにしろ、あいつは夷人だ…あの髪あの目…隠れて暮らすにも目立ち過ぎる、俺らに見付かる前に役人にでも取っ捕まるのが関の山だろうよ、しかしその夷人の餓鬼の素性を知る上での情報と言える手掛かりが全く無いときた」



「……面目ありません」



「………」





「あの餓鬼は未来の日本から来ただの何だのほざいていた訳だが…此れでいよいよ信憑性が出て来ちまったって事だ」




「どういう事なのか…?歳、お前は其の事について既に納得し理解したと私はてっきり思って居たのだが…お前が鞠絵を手元に置いたのも其の為であろう?鞠絵の定めを不憫に思っての…」

「得体の知れねェ夷人の餓鬼を不憫に思える程こちとら御人好しじゃねェよ…あんたみたいにな」



勝っちゃんの言葉を憎まれ口を捩じ込んで遮る





嫌われ役を買って出てるんじゃねェ
これァ元々の性分だ




勝っちゃんも其れが分からず嫌味と捉えてしまう程、俺と勝っちゃんの絆は浅かねェ




生半可な覚悟で"兄弟の契り"なんぞ交わせねェしな…







だからこそ此の"能天気な御人好し"の立場と威厳を守る為には俺が二歩も三歩も先回りし策を練り、構えてなんなきゃいけねェんだ…






嫌われ役は俺一人で充分だってな
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