重ね合わせる手
「おはよ、ゆき」
いつも通りの雪兎がむかつく。
さよならなのに、最後まで普通だなんて。
この幸せは夢だった。
叔父の元へ行けば、間違いなく此処には貴方の元には戻れないから。
「おはよ」
でも、最後だから普通にすることにした。
これでいいんだよね。
時間は早く過ぎていく。
もうすぐあいつが迎えにくる。
「ね、キスして」
雪兎はクスクス笑うの。
いつもと一緒だ。
「可愛いね、ゆきは。帰って来たら食べちゃうよ?」
甘い声で囁くからドキドキしちゃう。
顎に手を添えて、ゆっくりと唇を重ねた。
最後のキス。
やっぱり甘くてドキドキして、大好きな味。