重ね合わせる手


安心したんだ。
やっと帰ってきたって感じ。
離さないって言葉にドキッとしたんだ。
我慢して、頑張ったんだよ。



「あのね」



私は暗い汚い過去を話したの。
両親が亡くなったこと。
叔父叔母から繰り返された虐待のこと。
優しく話を促してくれて、話終えた時すごくスッキリした。



「ゆき、俺はゆきがいいんだ。だからその過去も俺が背負うよ。苦しみ悲しみ俺に話して。だから全部、ゆき全部が欲しい」




私の欲しい言葉をわかってるように言うの。
優しい笑顔で言うの。
やっぱり雪兎だけだね。



「俺も聞いて?」


きっと昔の彼女の話。
私も聞くからね。



< 37 / 40 >

この作品をシェア

pagetop